
川添仁美さん
兵庫県神戸市出身/北上市在住
自家焙煎珈琲「ルブラン」店主
8年前に夫の転勤で東京から北上市へ。
北上市を子どもたちのふるさとにしたいと考え、3年前に古民家を購入し定住。
珈琲焙煎の傍ら、半自給自足的暮らし、里山保全活動に力を入れる。
店舗を持たない理由はありますか?
もしくは今後持つ予定はありますか?
転勤族の夫に付き添うために、店を構えず、オンラインショップで出荷できることを基本に考えています。
今しかない子どもとの時間も大切にしたいので、店舗は持ちません。
また、自分は接客業には向いていないことも自覚しているので(笑)、今後も店舗を持つことはないでしょう。
北上と他の地域とでコーヒー文化に違いは感じますか?
北上と地元・神戸しか知りませんが、北上の喫茶店文化は薄い印象があります。
今でこそ自家焙煎珈琲屋さんが増えましたが、私が開業したころ北上に自家焙煎珈琲豆屋さんは数えるほどしかありませんでした。
少しずつ北上にも自家焙煎珈琲豆屋さんが増えている印象があります。
神戸には喫茶店がたくさんあって、とにかく喫茶店でおしゃべりするのが好きなマダムが多い。
一方で北上は喫茶店に行ってコーヒーを飲むというよりも、友人のお家でコーヒーやお茶を頂くという機会が多いように感じます。
私は岩手北上の〝お茶っこ〟の文化がすごく好きです。「お茶っこ飲んでけ」と客人を受け入れる温かい心が素敵だなと思います。
この仕事の楽しいときはどんなときですか?
やっぱりお客様や飲んでいただいた方に「美味しい!」と言ってもらえる瞬間でしょうか。
店舗はないので、お客様のお声を直接聞くことはほとんどありません。
しかし、今はお手紙やメッセージなどでお客様から連絡いただくことができます。
「コーヒーをブラックで飲めなかったのにルブランのは飲めた。」「お客さんに淹れたら喜んでもらえた。」などのお声を聞く度に、私の幸せ度が爆上がりし、やっていて良かったと思っています。
大切にしていることはありますか?
世間の流行りに自分を合わせないことです。
開業してからコーヒーが売れない時期が続いたとき、私の珈琲焙煎の師匠から頂いた言葉で、今も大切にしています。
当時、世の中のトレンドはスペシャリティコーヒーの浅煎りで、どれだけ有名な焙煎士が焼いた豆でも、私には美味しいと思えませんでした。
世の中の流行りとズレた自分の深めのコーヒー。そして売れない。
「コーヒー屋として続けていくには、浅煎りも幅広く取り扱った方がいいでしょうか?」と師匠に相談した時、「売れるコーヒー屋になりたいの? 美味いコーヒー屋になりたいの? 後者なら自分が美味しいと思うコーヒーを出し続ければいい。時間はかかるけど、その味に共感してくれた人が継続して購入してくれ、そしてさらにその人が他の人に勧めてくれるから、焦るな。」とアドバイスをくれました。
また、「独りよがりのコーヒーにならないために、常に味覚を鍛える努力をし、勉強を怠らないこと。」とご指導いただきました。
師匠の言葉があったから、世間に振り回されない、今のルブランの味があると思っています。これまでもこれからも大切にしたいです。
今後、目指していることはありますか?
コーヒーに関して、特にないです(笑)。
正直なところ、私はお客様とスタッフに恵まれて、コーヒーを通じてこれ以上ないくらい幸せな気持ちにしていただいています。
しいていえば、今は里山保全や自給自足的な暮らしに力を入れていきたいと思っていて、少しでも興味のある子育て世代や若い人たちにどう伝えていこうか考えています。
その空間に、ルブランの珈琲が一緒にあればいいなと思っています。
自家製焙煎珈琲「ルブラン」

